業務委託契約書
株式会社◯◯◯◯(以下「甲」という。)と、◯◯ ◯◯(以下「乙」という。)とは、甲が乙に委託する業務に関し、次のとおり業務委託契約(以下「本契約」という。)を締結する。
第1条(目的)
甲は、乙に対し、第2条に定める業務(以下「本件業務」という。)を委託し、乙はこれを受託する。
第2条(業務内容)
- 本件業務の内容は、次の各号に定めるとおりとする。
- (1)甲が運営するWebサイトのリニューアルに係るデザインおよびコーディング業務
- (2)前号の業務に関し、甲乙が別途書面(電磁的方法を含む。)で合意した業務
- 本件業務の遂行方法の詳細は、甲乙協議のうえ定める。
第3条(契約期間)
本契約の有効期間は、20◯◯年◯月◯日から20◯◯年◯月◯日までとする。ただし、期間満了の1か月前までにいずれの当事者からも書面による申出がないときは、同一条件でさらに6か月間更新されるものとし、以後も同様とする。
第4条(委託料および支払方法)
- 本件業務の委託料は、金◯◯万円(消費税別)とする。
- 甲は、委託料を、、乙が指定する銀行口座に振り込む方法により支払う。なお、振込手数料は乙の負担とする。
1支払いサイトが長すぎる
なにがまずい?
「完了した月の翌々月末」払いは、月初に納品した場合、入金まで最長90日近く待つ計算になります。フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)では、発注事業者は原則として、成果物を受け取った日から60日以内のできる限り短い期間内に報酬の支払期日を定めることとされています。また、同じ項の「振込手数料は乙の負担」も、特約がなければ支払う側の負担とするのが民法上の原則です。
修正文例
「委託料は、成果物の納入日から起算して30日以内に、乙が指定する銀行口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は甲の負担とする。」
第5条(納入および検収)
- 乙は、甲が別途指定する期日までに、本件業務の成果物を甲に納入する。
- 甲は、納入された成果物について検査を行い、。
2期限のない検収
なにがまずい?
検査をいつまでに行うかの期限がなく、「甲が認めたとき」に検収が完了する建て付けです。次の項で支払義務の起点も検収完了日とされているため、甲が検収を保留し続けると、納品が済んでいるのに報酬がいつまでも確定しません。
修正文例
「甲は、成果物の納入後10営業日以内に検査を行う。同期間内に甲から書面による具体的な指摘がないときは、検収は完了したものとみなす。」
- 検収の完了をもって本件業務の完了とし、第4条の委託料の支払義務は、検収の完了した日を基準として生じるものとする。
第6条(修正等)
- 甲は、乙に対し、成果物の修正、変更または追加(以下「修正等」という。)を求めることができる。
- ものとする。
3無償・無制限の修正義務
なにがまずい?
「回数の制限なく、無償で」は、作業量の上限をなくす条項です。デザインの微調整から仕様変更まで、すべて無償対応の根拠にされかねず、対応するほど時給換算が下がっていきます。「検収の完了の前後を問わず」とあるため、納品後もずっと修正義務が続く読み方すら可能です。
修正文例
「検収完了前の軽微な修正は、2回までを委託料の範囲内で行う。3回目以降の修正および仕様の変更・追加を伴う作業は、甲乙協議のうえ、別途見積もりのうえ対応する。」
第7条(知的財産権の帰属)
- 成果物に関する著作権。
- ものとする。
4著作権の全部譲渡と著作者人格権の不行使
なにがまずい?
著作権法第27条・第28条(翻案や二次的著作物の利用に関する権利)は、契約書に明記しないと譲渡されなかったと推定されるため、わざわざ書かれています。つまりこの条項は「二次利用も改変も含めて、追加の対価なしで全部渡す」内容です。さらに著作者人格権を行使しないと約束すると、作品の改変や氏名の非表示にも異議を言えず、成果物を自分の実績としてポートフォリオに載せることも難しくなります。
修正文例
「著作権の譲渡の対価は委託料に含まれることを甲乙確認する。乙は、甲の秘密情報を除き、成果物を自己の制作実績として公開することができる。」
第8条(再委託)
乙は、甲の事前の書面による承諾がある場合を除き、本件業務の全部または一部を第三者に再委託してはならない。
第9条(秘密保持)
- 甲および乙は、本契約に関連して知り得た相手方の技術上、営業上その他一切の秘密情報を、相手方の事前の書面による承諾なく第三者に開示し、または漏えいしてはならない。
- 前項の義務は、本契約終了後も3年間存続する。
第10条(競業避止)
乙は、。
5広すぎる競業避止
なにがまずい?
期間は契約終了後3年、対象は「同種または類似の事業を営む者」全般で、地域や業務内容の限定も、見返り(代償措置)もありません。同じ業種の複数のクライアントと取引して成り立つフリーランスにとっては、事実上「この分野の仕事をやめてほしい」に近い内容です。ここまで広い制限は常に有効とは限りませんが、契約書に残っていること自体が萎縮につながります。
修正文例
「乙は、本件業務で知り得た甲の秘密情報を利用して、甲と直接競合する業務を行ってはならない。本条の義務は、本契約終了後6か月間に限り存続する。」
第11条(損害賠償)
乙が、本契約に違反し、または本件業務の遂行に関連して甲に損害を与えたときは、乙は、。
6上限のない損害賠償
なにがまずい?
逸失利益や間接損害まで含む「一切の損害」を、上限の定めなく負担する内容です。数十万円の案件でも、取引先の売上減少などを理由に、報酬をはるかに超える請求を受けるリスクを抱え込むことになり、報酬と責任のバランスが取れていません。
修正文例
「乙が甲に対して負う損害賠償の額は、故意または重過失による場合を除き、甲が現に支払った委託料の総額を上限とし、逸失利益その他の間接損害は含まないものとする。」
第12条(契約の解除)
- 甲は、乙が本契約のいずれかの条項に違反したとき、。
- 。
7無催告解除と報酬の放棄
なにがまずい?
「甲が必要と認めたとき」は、理由を問わない即時解除を認める文言です。さらに、途中まで進めた作業の対価まで請求できないとされています。民法では、委任が途中で終了しても、履行の割合に応じた報酬を請求できるのが原則(民法第648条第3項参照)で、その原則を丸ごと放棄させる内容です。
修正文例
「甲が本契約を解除するときは、相当の期間を定めて催告する。解除の場合、甲は乙に対し、解除日までに乙が実施した業務の割合に応じた委託料を支払う。」
第13条(反社会的勢力の排除)
甲および乙は、自己またはその役員もしくは従業員が、暴力団、暴力団員その他これらに準ずる者(以下「反社会的勢力」という。)に該当しないことを表明し、保証する。相手方がこれに違反したときは、催告を要せず本契約を解除することができる。
第14条(協議および管轄)
- 本契約に定めのない事項または本契約の解釈に疑義が生じた事項については、甲乙誠実に協議のうえ解決する。
- 本契約に関する一切の紛争については、甲の本店所在地を管轄する地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
本契約締結の証として、本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ、各自1通を保有する。
20◯◯年◯月◯日
株式会社◯◯◯◯
代表取締役 ◯◯ ◯◯
◯◯ ◯◯